求人広告の営業として、数々の企業の求人を担当しましたが、なかにはネット上でブラック企業と名高い企業もありました。
求人のための打ち合わせの面談では、会社の魅力を知るために、取材を行うわけですが、話を詳しく聞くと、その会社がブラックかどうかは分かります。
しかし、求人広告の役割は人の募集を集めることです。ちゃんと仕事しなければいけませんし、ブラック・ホワイトは人の主観にも左右される部分でもあるので求人広告の営業マンは出来るだけ反響を出すために頑張ります。
どうにかブラック感が出ないように工夫した広告を作成するのですが、やはり少し無理やり感は残るため、ブラック企業の求人広告には独特の癖が残ります。
今回は、求人を出す側からの経験から、ブラック企業を見分る方法を紹介。
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ブラック求人に特徴がでるのは「嘘」を書けないから
ブラック企業の求人に特徴がでるのは、求人メディアに「明らかな嘘」が書けないことが要因となっています。
理由は、嘘が載ると求人メディアの価値が落ちるからです。
「あそこのサイトの求人情報は嘘だらけだ」となると、だんだん人を集めることができなくなり、そのメディアはズルズル衰退していきます。
もし明らかな虚偽表示が求人広告にあった場合、それはミスか、求人メディアの担当者ごと掲載企業が騙した場合で、騙したことが判明した時は、まともなメディアでは、掲載禁止になるので、「明らかな嘘」を乗せ続けるメディアは、そうそうありません。
その結果、「嘘」にならない範囲で会社を良く見せるために、歪みが生まれて一定の癖が生まれます。「言葉のマジック」を見逃さないことが大事です。
ブラック企業の可能性がある求人とその理由
ブラック企業の求人広告の特徴をまとめ、その特徴の理由をまとめます。
「働きやすい」などの記載の根拠が書いていない
アピールポイントの根拠となる理由が書いてないところは、気をつけましょう。「働きやすい」ならそれに応じたシステムがあるはず、勤務時間の融通が利きやすいとか、休みが多いとか、女性なら育児休暇がしっかりしていたり、ITエンジニアなら自宅勤務できたり、事実として定着率が高いなど。「なぜ働きやすいといえるのか?」という理由が書いてない時は、何となくで言葉をあてはめただけの可能性あり。
「アットホーム」「楽しい」というありがちな抽象的な社風表現
求人広告を作るときには、その会社のアピールポイントを決めて打ち出しますが、抽象的な言葉、しかも使い回されている言葉を一番のアピールにしている時は、他に強調できる部分がなかった可能性があります。苦肉の策。嘘はつけないので、なんとかあてはまる言葉を使うと、どうしても抽象的な言葉になることが多くなる。広告は目に止まってナンボ、違いが分かってナンボなのに、わざわざ埋もれやすい表現をメインに使うのはおかしいですよね。ちなみに、メインではなく、付随的なアピールならよく使う。
最初から高い月収
同様の職種と比較して、最初から高い月収を提示する企業は、人の入れ替わりが激しく、常に人を入れ続けなければいけない会社であることが多かった。そして、最初の月収を上げることで、人を集めて、退職者とのバランスを取ろうとするのは、今の離職率の高い社内の環境を正そうとする姿勢がないという表れでもあります。一定数は辞めるであろうという前提で採るから最初から給料を上げて、タフな人が何人か残ればいいやという考え方。営業系に多いですね。
常時、求人の募集を掲載している
常に求人募集をかける会社は、人が居つかない会社であろうことは想像できますね。派遣会社のように、人を集めるのが仕事の会社ではないかぎり、常に募集をかけ続けているなら離職率が異常に高い傾向があります。求人広告は通常、数週間分をセットで販売するので(割引がある)、4週間くらいなら問題無し。2ヶ月以上継続して掲載していると黄色信号ですね。転職を検討し始めた段階で、ちょくちょく求人サイトを見ておけば、「この求人、またでてる」とすぐに分かるようになります。転職を考え出したら、とりあえず、最大手の求人サイトには登録しておくといい。
成長・やりがいの他に精神論の強調が多い
僕も求人広告を作るときによく使っていた「やりがい・成長」というワード。主に、若者を集めたいときに使ってました。しかし、このワードが使ってある会社ってほんとに仕事を任せてもらえて、面白そうな会社もあります。今、すごく伸びている会社とかなら。しかし、共通してほとんどの会社が激務です。わりと、激務をこなすことで→成長できる、やりがいがあるという方程式で使っていることが多かった。本当に仕事をバリバリやりたい人ならいいですが、そうじゃない人にはブラックになりますよね。
幅が広すぎる月収例
月収例のステップアップが急角度で上昇して、かなり幅がある場合は気をつけた方がいいです。社内に100名社員がいて1名だけでも、貰っている人がいるなら嘘にはならないわけですから。社会にでたらたまにいるじゃないですか、本当にマネのできないスーパーな人。9割の人は絶対的に無理な未来を見せ、引きつけようとするのは他に売りがないからである可能性が高いです。
求人広告の裏を読む、惑わされないための情報収集
転職活動は情報戦です。
求人広告からも、最大限に情報を読み取れると、ブラック企業に引っかかる可能性を低め、より良い会社を選別できるようになります。
しかし、「読み取る」といっても文字を一語ずつ丁寧に読むってことではありません。この会社がなぜ、この部分を強調しているのか?なぜこういう求人の出し方をしているのか?を考えながら、営利企業として合理的な行動をする求人メディア、募集企業の考え方を探るのです。
今は、ネットである程度の情報が、お金をかけずに集めることのできる時代です。会社のHPの確認はもちろん、口コミ情報を集めているサイトキャリコネ で元社員からの情報を集めて、裏付けすることもできます。
結局、どれだけ本気で企業を探すかで集まる情報量はまったく違うのもになります。
転職活動では情報弱者にならないように
便利な世の中になった分、情報強者と情報弱者の差がつきやすい時代にもなってきたなとヒシヒシと感じます。
情強が少ない上席をすぐに埋め、残りを情弱が取り合うという構図です。
普段はネットを使わないとしても、人生で大きな部分を占める仕事選びに関しては、できるだけ活用しましょう。
情報戦に勝利し、良い転職を。
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