天職とは何か?向いている仕事とは?について考えるのに、心理学者アンジェラ・ダックワースの著書「GRIT ーやり抜く力」が参考になります。全米でベストセラー。
著者は、心理学者として多くの研究データからどんな分野であれ成功には、IQや才能よりも「やり抜く力=GRIT(グリット)」が重要であることを理屈で説明しています。
「やり抜く力」 という言葉だけだと単なる根性論のようでうんざりしますが、努力が「なぜ効果を発揮するのか」の理屈をしっかりと説明している点が面白い。
成功に最も大切なのはGRIT
本書で主張しているのは、IQ・才能よりもやり抜けるかどうか、つまり「GRIT」が成功の鍵だという点です。
多くの分野で最初に知能や才能が高かった者が挫折しており、当初劣等生だといわれていながら最後までやり抜いたことで成功者となっている事例があるようです。
僕がやっていたサッカーの世界でも継続する劣等生がスターになるケースはとても多く、本田、長友、香川の日本代表のビッククラブトリオは全員若い頃にユースチームの選考に落第しています。
さらに、少し前だと不動の司令塔だった中村俊輔も中学時代は控え選手だったことは有名な話で、今あげた全選手が練習の鬼で「やり抜く力」に優れていることも知られています。
本書では、このGRITが才能よりも成功に大切なのは「2度作用する」からだと説明しています。
著名な陶芸家マッケンジーの話
「この窯元を開いたころにつくった壺を覚えているけど、今思えば本当に下手だった。当時の作品には、いまの僕が作品に求めている味わいがない」とマッケンジーは言う。「最初の1万個は難しいんだよ。それを超えると少しわかってくる」仕事がわかってきてどんどん腕を上げるにつれ、マッケンジーが1日につくる出来の良い壺の数も増えていった。
<才能×努力=スキル>
それと同時に、出来のよい壺の出荷数も増えていった。
<スキル×努力=達成>
マッケンジーはひたすら努力を重ねて腕を上げ、めきめきと腕を上げ…中略…と同時に同じ努力により偉大な陶芸家になっていった。
スキルを身につける段階、スキルを発揮する段階の2段階で「GRIT」は作用するため他の成功要因よりも2倍大切な要素となるのです。
by:GRIT-やり抜く力
才能が1/2でもやり抜く力が2倍なら大差をつけて才能を凌駕できるということ。
GRITを発揮する方法とは
「200名以上の"メガ成功者"にインタビューを行って、どんなことを学びましたか?」と私はレイシーにたずねた。「何度も聞いたのは『この仕事が大好きだ』という言葉です。ふつうの人も言いますが、もっとあっさりしています。でもメガ成功者たちはちがうんです。『僕は本当にラッキーだよ。朝、目が覚めて、今日も仕事ができると思うとうれしいんだ。いつもスタジオに入るのが待ちきれない。次のプロジェクトに着手するのが待ち遠しい』。彼らはやらざる得ないからとか、金銭面で魅力的だからとか、そんな理由で仕事をしているわけじゃないんです。」
自分が一番楽しいことを仕事にしようという話は、成功者のスピーチでよく聞く言葉ですが、これこそが「GRIT」を発揮する鍵なのだそう。
そしてそれは単なる精神論ではなく、科学的な裏付けもあります。
人は自分のやっている仕事を面白いと感じているときのほうが、業績が高くなる。これは過去60年間に行われた60件の研究データを集計したメタ分析による結論だ。
自分が情熱を持てることであれば「GRIT」が生まれます。
営業職で結果を出すことができた自分自身のケースでも、営業とデスクワークの仕事では粘りや改善への意欲が大きく異なることは感じていました。そして、僕はやはり単純に営業の方が好きなのです。
好きな仕事とそうでない仕事では、どちらにも同じくらい真剣に取り組んでもどうしても差がでます。
頭一つ抜け出すような高いパフォーマンスをだすには、そもそも「好きな仕事」でないと難しい。
なぜ天職をみつけるのは難しい?
僕が就職活動をするとき「好きなことを探しなさい」と言われることなどありませんでした。そして友人たちや周囲の大人も、どれだけ大きくて安定している会社に就職できるかを求めていました。
多くの人が「好きなこと」という軸で就職先は選んでないのが現状です。
僕の最初の就職先は堅実で安定していました。就職活動当時、好きなことを追求した先にあるのは貧困だとも思っていました。
しかし、その後にデスクワーク中心の仕事に嫌気がさして規模は小さいが興味の持てそうな会社に転職してから全てが上手くいくようになった。
振り返ると転職時に優先したのは「興味・関心」で「安定」は頭にありませんでした。
今では、自分の興味が持てる「好きなこと」を軽視した結果、大きな回り道をしたと感じています。
天職を見つけるのは時間が必要
どんな仕事でも「やり抜く」ことができる人がいるのではなく、「やり抜けることを仕事にする」ことが重要だということです。
やり抜けないのは気合いの問題ではなく、仕事と自分の適性が一致していないと考えることも大切です。好みも含めた適性と仕事が合致したときに「GRIT」は生まれます。
そのためには、最初の段階としては自分がやり抜けること、情熱を持てることを必死に探さなければいけません。
実際にインタビューで話を聞いていみると、ほとんどの人は「これだ」と思うものが見つかるまでに何年もかかっており、その間、さまざまなことに興味を持って挑戦してきたことがわかった。
著者自身がコンサル会社のマッキンゼーを辞めた後、公立の数学教師を経て心理学者の仕事に就いているように、自分が「これだ!」と思える仕事に出会うまでは多少の時間は必要です。
一発で天職に出会える人はよほどの強運の持ち主で少数派。
つまり、自分に向いている仕事に出会えるまでは必死に探すことが必要で、転職にマイナスイメージのある日本ではこの努力を怠っている人は多いのではないかとも思います。
自分が何に興味があるのか?を考えながらトライ&エラーを継続することが大切だということでしょう。
日頃から情報収集は継続する
情熱を持てる仕事の発見は何がきっかけになるかわかりません。
日頃からアンテナを高くして情報収集はこまめに行いましょう。
趣味や旅行などをきっかけに天職に出会うこともあるでしょうが、最も可能性が高いのは実際にどんな仕事があるのか日頃から情報を集めることです。
仕事情報をきっかけに予想しなかったような仕事に出会う可能性もありますし、こんな求人の募集もあるのか…と感じるような職種の募集を見つけることもあります。
僕の最初の転職も、隙間の時間で求人情報をチェックしていたことが幸いして興味の合致した仕事に移れました。
効率的な情報収集の仕組み
継続するには楽で効率的な情報収集方法が大切になります。求人情報は時期によって出ている求人が異なるため、情報収集を継続することで見えてくるものもあります。
個人的におすすめな仕組みは、大手サイトのリクナビNEXT と横断型サイトピタジョブ の組み合わせで求人情報を網羅することです。
リクナビNEXTは業界最大手のサイトであるため、掲載数が最も多くここにしか掲載されていない求人が豊富にあります。
ピタジョブはリクナビNEXT以外の複数の大手求人サイトDUDA・マイナビ・@typeの求人情報の横断検索ができます。さらに、企業HPからクローラーで求人情報を収集しているため、通常の求人サイトには掲載されていないような情報も集まっています。
つまり、この2サイトの組み合わせなら大手求人情報サイトを2サイトだけで網羅できるということです。
この組み合わせなら短時間で負担なく大量の情報収集が可能になります。
取り組むべきことを「発見」する
「まずは好き嫌いをはっきりさせて、そこから積み上げていこう。自分の興味のあることがはっきりわからなくても、生活費を稼ぐ手段として『これだけはやりたくない』という仕事もあれば、『これならよさそうだ』という仕事もあるはずだ。そこから始めよう。」
本当に自分に最適な仕事なのかは取り組んでみないとわかりません。
天職を見つけるために最も必要なのは行動。
試行錯誤を怠らず、自分の力を100%発揮できる天職の「発見」を目指しましょう。
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