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退職金の平均と相場、自分の退職金の計算方法

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会社を辞めるときに支払われる退職金。

「自分はどれくらいもらえるんだろう?」

退職金の金額はその後の人生設計に大きな影響を与えるため、気になって当然です。

もし、まとまったお金を受け取ることができれば、新しいことを始める軍資金となり、その後の生活の安定にも繋がりますよね。

今回は、民間企業と公務員の退職金の平均額や計算方法をまとめます。

自分の退職金はどれくらいもらえそうか?それは、平均と比較して高いのか低いのか?が気になる人は参考にしてみてください。

退職金の基本

まずは、退職金の基本から。

退職金は大きく分けると「一時金」「年金」の2種類

退職金は2種類あります。

  • 退職一時金…退職の際に一括で支払われる一時金。
  • 企業年金…企業が社員に対して年金を支給する仕組み。年金であるため、退職後も継続して支払われる。

基本的に退職金は「退職一時金」の形で支給されます

企業年金は、ある程度の規模がある会社で取り入れられることが多く、企業年金制度がある会社は、企業年金を退職金代わりとすることも多いです。

退職一時金と企業年金の両方を支給する企業も増えてきています。

その場合、一時金を貰った後に年金が継続して支給されます。

退職金は法律上の義務じゃない

企業にとって退職金の支払いは法律上の義務ではありません。つまり、企業は退職金の支給を行わなくても「違法」にはならないということです。

実際に、企業の中には退職金の支給をしていない会社もまだまだ多くあります。

厚生省の就労条件総合調査によると、退職金がある企業の割合は全体の75.5%となっています。逆にいえば、24.5%の企業には退職金の給付がないということですね。

また、退職金の有無は、企業規模に反比例しています。

  • 1000人以上の企業 93.6%(有の率)
  • 300人以上の企業 89.4%
  • 100人から299人の企業 82.0%
  • 30人から99人の企業 72.0%

社員が少ない中小企業だと、退職金の制度がないことも多いようです。

退職金の制度があるなら必ず就業規則に記載しなさい」という法律があるため、自分が働く会社の退職金の有無は、就業規則を見れば確認できます

就業規則に定めがあれば、20代の若手でも貰える場合もあります。

退職金は、退職のやり方一つで金額が増えることもあるため、退職前には自社の就業規則を確認して把握しておくようにしましょう。

退職金の平均と相場

民間企業と公務員に分けて退職金の平均額をみていきます。

民間企業の退職金相場

まずは、民間企業から。厚生省の就労条件総合調査結果が参考になります。

調査票が複雑なため、ポイントだけ抜粋して見やすく整理していきます。 

厚生省は、退職者を学歴で3つに分類しています。

  • 大学卒(管理・事務・技術)
  • 高校卒(管理・事務・技術)
  • 高校卒(現業)

若い年代の退職金を含めるとノイズが増えて、相場が掴みづらくなるため、3タイプの従業員のうち、勤続 20 年以上かつ45歳以上の退職者の平均退職金を抽出します。

▼勤続年数別の平均退職

勤続年数ごとの平均退職金を確認してみましょう。

勤続年数 大学卒(管理・事務・技術職) 高校卒(管理・事務・技術職) 高校卒(現業職)
20〜24年 826万 505万 433万
25〜29年 1083万 692万 603万
30〜34年 1856万 938万 856万
35年以上 2156万 1965万 1484万
全体 1941万 1673万 1128万

全体の平均退職金は以下のとおり。

  • 大学卒(管理・事務・技術)…1941万円
  • 高校卒(管理・事務・技術)…1673万円
  • 高校卒(現業)…1128万円

大学卒と高校卒(現業)では、平均額に813万円の差がみられます。

上の表をグラフ化↓

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勤続25〜29年勤続30〜34年で一気に平均退職金が増加しているのが印象的です。

また、勤続35年以上になると大卒(管理・事務・技術)と高卒(管理・事務・技術)の差が大きく縮まります。

退職理由で退職金は変わる

退職金は、「どんな理由で退職したのか?」でも金額が変動します。

▼退職理由別の平均退職金額

学歴・職種 定年 会社都合 自己都合 早期優遇
大学卒(管理・事務・技術職) 1941万 1807万 1586万 1966万
高校卒(管理・事務・技術職) 1673万 1573万 1159万 1945万
高校卒(現業職) 1128万 1004万 784万 1418万

一番は、自己都合退職が低くて、早期優遇がもっとも高い。

早期優遇>定年>会社都合>自己都合の順で金額は上がります。

会社都合か自己都合かは、退職後の失業保険の金額にも大きく関わります。

企業によっては、本当は会社都合の退職なのに、自己都退職の扱いにされることもあるので、退職のときにはきちんと会社と交渉できるように知識をつけましょう。

公務員の退職金相場

次は、公務員の退職金の平均相場について。内閣人事局の「退職手当の支給状況」から必要なデータを抜粋。

勤続年数 平均退職額
勤続20〜24年 1083万
勤続25〜29年 1697万
勤続30〜34年 2190万
勤続35〜39年 2496万

35年以上の勤務で平均2496万円です。

先に書いたように同じ勤続年数の民間大卒の平均退職金は2156万円。同条件で比較すると公務員の方が340万円高い平均額となっています。

公務員と民間企業の大卒を比較↓

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どの年数で比べても公務員の平均退職金額の方が高いことがわかります。

公務員の退職金データは、学歴の区別なく高卒と大卒が入り混じっていることを考えても、公務員の平均退職金は民間企業を大きく上回っていると考えていいでしょう。

退職金の計算方法

退職金の計算方法をまとめます。

民間企業の退職金計算

先にも説明したとおり、退職金は法律上で定められた義務ではないため、「 こう計算しなさい。」という法的な決まりはありません。

正確な算出方法は、企業ごとの退職金規定を見ないといけませんが、ここでは一般的な企業で多く使われている算出方法を解説。

・一般的な退職金の算出式↓

1ヶ月の基本給×勤続年数×給付率=退職金

平均的な給付率は、自己都合退職で58%会社都合退職で67%です。ここは企業によってぜんぜん違う部分なので、正確な率を出したいなら自社の規定を確認しましょう。

具体例として、 下記の条件のAさんの退職金を計算してみます。

  • 月の基本給が40万円
  • 勤続年数30年
  • 会社都合退職

条件を算出式に当てはめます↓

1ヶ月の基本給(40万)×勤続年数(30年)×給付率(67%)=804万円

Aさんの退職金は804万円と計算できます。

公務員の退職金計算

公務員の退職金(退職手当)について説明。

公務員といっても、地方公務員・国家公務員があって規定が異なります。今回は国家公務員の退職金の算出方法をまとめます。

国家公務員の退職金の計算式は、下記のとおり。内閣人事局で公表されています。

退職日の俸給月額×(退職理由別・勤続期間別支給率×調整率)調整額退職手当

公務員の給与は、国が決めた「棒給表」で決まります。勤務年数が長くなるほど、級に応じて給与が上がり、退職金の額も上がる。

「退職理由別・勤続期間別支給率×調整率」の数値は、内閣人事局に早見表があるため、自分の勤務年数に応じた数値を調べられます。

調整額についての詳細は、内閣人局を参照。

・調整額

各月にその者が属していた職員の区分(第1号区分~第11号区分)に応じて定める額(以下「調整月額」という。)のうち、その額が多いものから60月分の調整月額を合計した額。 

それぞれの数値を算出式にあてはめれば、退職手当がわかります。