求人広告の営業は、面白そう、激務そうなど色々なイメージがあるようです。
僕は求人広告会社で働き成果もあげていましたが、求人広告の営業はおすすめできる仕事だと自信を持って言えます。
元求人広告の営業マンが、営業の仕事内容・辛い点・やりがいについて解説します。
求人広告会社の営業とは
求人広告会社の営業は、企業の人事担当者へ広告枠の売り込み、求人広告の企画提案、広告作成のディレクションなどを行います。
求人広告の営業といっても、大きく2種類があります。
- 媒体運営企業の営業
- 代理店の営業
自社でWebサイト・フリーペーパーなどの求人媒体を持っている会社か、持っていない会社かの違いです。
僕は、求人媒体を運営する企業の営業だったので、媒体運営企業の営業の仕事を解説します。ちなみに、代理店の営業もやることはさほど変わりません。
営業の実務
実務を契約獲得・広告制作・反響確認の3段階に分けて解説します。
契約獲得
アプローチ
営業の一番大切な仕事です。主な方法は2つ。
- テレアポ…電話で訪問・面談のアポイントをとる。
- 飛び込み営業…アポイントなしで訪問して売り込む。
1.テレアポ
テレアポは、面談のアポイントを取ることが目的です。
企業に電話をかけて「お忙しいところ恐れ入ります。私、求人誌◯◯の《名前》と申します。求人のご案内でお電話させていただきました。担当者様いらっしゃいますか?」と挨拶し、面談のアポイント交渉をします。
実際にやる前は、ガチャ切りを連発される辛い業務だと思っていました。
実際はそれほど冷たい対応はありません。たまーにされるくらいです。個人宅へのテレアポは大変なようですが、法人へのテレアポは楽なものです。
1日100件なら、それほど時間はかからない。PDCAが回しやすいため、試行錯誤が苦にならない性格なら、短期間で上手くなれます。
2.飛び込み営業
飛び込み営業は、企業にアポなし訪問で売り込みをかけます。
やること自体はとても簡単で、オフィスに入って人事の担当者を呼んでもらい、挨拶しながら商材の案内を聞いてもらえるように交渉するだけです。
大概は「今、求人予定はないよ」と言われますが、資料・名刺を渡したり、立ち話の中でも印象に残る情報を与えることができれば、後々の依頼に繋げられます。
企業に怒られたり、煙たがられるイメージがあるようですが、実際は、節度を守れば、それほど大変な目にはあいません。
「営業か。めんどうくさいなー」という反応はよくされますけどね。業務中にお邪魔するので、それくらいは仕方がないですよ。この程度でも辛いと感じそうなら、営業はやらない方がいいでしょう。
広告の提案
企業の求人の条件をヒヤリングして、「どこを強く打ち出すべきか」「どうすれば応募が集まる広告になるか」を提案します。
広告枠の大きさに比例して、提案の幅も広がります。大きな広告枠だと広告全体のデザインなどクリエイティブな要素も必要です。
あまり乗り気じゃない相手でも、説得力のある提案があれば契約をとれます。営業の腕の見せ所です。
広告制作
原稿作成
僕がいた求人広告の会社では、テキストと1・2枚の写真で構成される原稿は、営業が自分で作成していました。
求人広告に誤字脱字があると大問題です。とくに電話番号を間違ってしまうと、応募しようにも電話が繋がらなくなってしまう。
一週間に一度の締め日には、大量の掲載依頼が集中します。そこでミスなくスピーディーに原稿を作成するのは、とても神経を使う作業でした。
広告ディレクション
大きな広告枠は、社内のデザイナーに作成を依頼します。ここでのディレクション能力は広告の質に大きな影響を与えます。
営業・デザイナー共にリソースは限られています。何度も作り直すことはできません。
『一発でイメージを共有するにはどうするか?』毎回工夫が必要でした。
求人広告の営業には、ディレクション能力も求められます。
特集インタビューなど
フリーペーパーやWebサイトの特集企画、インタビュー企画の手伝いもあります。
企画にあわせてクライアントへ協力依頼し、インタビューアー・カメラマンのような仕事をすることもありました。
就職イベントを開催するときは、イベント会場の準備も手伝っていました。
反響確認
求人広告が掲載された後は、どれくらい応募があったのか反響の確認をします。
自分の提案した広告の結果発表です。面白くもあり、辛くもある業務ですね。
採用ができて感謝されることもありますが、反響がないクライアントからは、掲載を打ち切られることもあります。
反響結果をみながら次週の広告掲載を見送ったり、新しい提案をしたりと、次の動きを考えていきます。
辛い点
無理難題を要求するクライアントへの対応
どの業界でも営業を困らせるのが、無理難題を要求してくるクライアント企業。
「反響がないから、お金は払わない」「無料で掲載期間を延ばせ」と言われることや、契約をチラつかせて関係のない仕事をさせらされることもありました。
こういった企業への対応は骨が折れます。しかし、引くべきところ・跳ね返すところのバランス感覚が非常に磨かれます。
ノルマなど数字の重圧
営業の成績は、数字ではっきりでます。
重要視される数字が、件数なのか売上なのか、新規数なのかシェア率なのかは、求人広告会社ごとの戦略で異なるにしても、「数字」はゴマカシがききません。
そのため、常に成績へのプレッシャーはありました。
しかし、重圧があるといっても、営業として健全なレベルのものです。成績次第で檄ヅメされる会社が多い不動産・金融と比較するとそれほど厳しくはありません。
営業職の中ではノルマの負荷は軽い方です。
明確な反響が求められる
求人広告の広告効果は、応募◯件という数字で表れます。
掲載して一週間経てば、結果がでます。面白い部分である反面、言い訳ができないシビアさがあります。
求人以外の商品PR広告なら、ここまではっきりと結果はわからないわけですよ。その広告一つがどれくらいの効果をだしているのかまでは。
求人広告は、明確な結果が求められます。しかし、成果も明確なのでやりがいもある。
仕事の面白さ・やりがい
たくさんの業界・業態を知れる
求人広告の営業は、各業界と横断的に関われます。各業界の商習慣の違い、ビジネスの仕組みの違いを知ることができます。
勢いのある会社、調子が悪い会社の違いなど、第三者的な立場から関わることでみえるものもありました。
自分のキャリア戦略に活かしています。
経営者と話せる
経営者の話は面白いです。
多くの中小企業は、経営者が採用広告を全て管理しています。経営者に提案・ヒヤリングをする機会も頻繁にあります。
とくに創業の経緯や拡大時の苦労の話は面白かった。飲食系は、20代中盤でお店を経営している人もいて、刺激を受けました。
生の経営者を知ると「自分にもできるかも」と思えてくるから不思議です。
仕事をとおしてビジネスへの関心が高まりました。
自分の提案を市場で試せる
辛い点でも説明したように、求人広告は広告効果がはっきりわかります。
そのため、自分の提案で反響が出せたときは最高に嬉しい。
競合媒体から奪った企業の広告で反響がでたときは「よし、勝った!」とガッツポーズしていました。
自分の提案でユーザーを動かせた瞬間は、一番のやりがいでした。
身につく能力・経験
求人広告の営業で身につくスキル・得られる経験。おすすめできる理由など。
"無形商材"の営業経験は転職でも有利
求人広告は、無形商材です。
- 無形商材…形のない商材 例:広告・ITシステム・会計サービスなど
無形商材を売るには、営業マンのスキル・提案力が鍵となります。
そのため、無形商材の営業経験があれば『営業力がある』と評価されやすくなります。
実際に、求人広告を売る中で顧客の要望を引き出すヒヤリング力・購買意欲を刺激する提案力はかなり磨かれました。
単価が低い広告枠もたくさんあります。売りやすい低額の商材を売りきるところから初められるため、営業未経験でも無理なく営業力を身につけられます。
toBとtoC両方の経験が積める
法人(toB)とコンシューマー(toC)両方のビジネス経験が得られるのも魅力。
業界最大手リクルートの公式ツイッターの図がわかりすかったので引用。
求人広告会社のビジネスは、法人向け(toB)ビジネスですが、転職者に対して働きかけるコンシューマー(toC)向けの要素もあります。
「どんな求人なら人は動くか?」と考える作業は、toC向けの頭の使い方ですからね。
一つの仕事で、toB・toC両方の経験ができるものは、それほどありません。
求人広告会社の業界最大手リクルートが人材輩出企業と呼ばれるのは、リクルートでtoB・toC両方の経験ができることも要因だと思っています。
リクルート出身の起業家は、とても多い。
- 宇野 康秀…U-NEXT株式会社
- 平尾丈…株式会社じげん
- 経沢香保子…株式会社キッズライン
- 井上高志…株式会社ネクスト
- 篠塚 孝哉…株式会社Loco Partners
まだまだいます。多すぎてキリがないのでこの辺で…。
調べやすいのでリクルートを例に出しましたが、求人広告の営業経験を活かして活躍している人は他にもたくさんいます。
僕も求人広告の営業で培った経験を活かしてキャリアアップし続けています。
求人広告の営業に転職する方法
求人広告業界の仕事を探すなら、リクルートエージェント を使うといいです。
リクルートエージェントは、上で例にあげたリクルートが運営する転職エージェント。一番の利点は、自社媒体(タウンワーク・リクナビNEXTなど)以外の競合である他社の広告媒体の求人も紹介してくれる点にあります。
リクルートエージェントが知名度・集客力NO1のサービスであるため、競合の媒体会社としても、リクルートと敵対して自社だけで人材を募集するより、協力して人材を募集した方が優秀な人材を集めやすい。
転職者目線でいえば、リクルートエージェント1社だけで数多くの求人広告関連の仕事を紹介してもらえるため、非常に便利です。
他の転職エージェントと比較して、内定決定率・取扱求人数も1位であるため、求人関連以外への転職で利用しても成功する可能性を高められます。
求人関連の仕事に興味はあるけど、その他の仕事もどんな選択肢があるのか知りたいという人が、一度プロのキャリアカウンセラーに相談してみるといい。
まとめ
とくに以下のような人におすすめ。
- 営業未経験から営業力をつけたい人
- toB・toCを手っ取り早く経験したい人
- 好奇心が強く、色々な業界を知りたい人
得るものが多く、キャリアップに活かせる経験ができる仕事です。
個人的には非常におすすめできるので、興味があるなら挑戦してみてください。